今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2021.4.3.

 

 

 

 今回は、今から38年前の1984年にタイムスリップ。この年は、アメリカのアップル社がデスクトップやマウスという革新的なシステムを搭載したMacintoshを発表しました。それまでコンピュータと言えば、専門知識が無ければ動かせないものと思われていましたが、この新しい概念によってコンピュータを一般に普及させIT産業の幕開けとなる大きなイノベーションを起こしました。結果、OSシェアは、Windowsに9割以上明け渡してしまいましたが、その後ipotやitune、iphoneなど常に時代を先導するパイオニアとなりました。そして、この年は第23回オリンピックがロサンゼルスで開催され、柔道無差別級で山下泰裕が金メダルを獲得。10個の金メダルを日本が獲得しました。

 

 そして、今回ご紹介するのは小林よしのり原案の「逆噴射家族」。東京郊外で暮らす家族が念願のマイホームへ引っ越しするところから始まります。この家の主人であるお父さんは、都内で働くビジネスマン。真面目にコツコツ働くことが取り柄で、家族のことを何より大切に考えています。専業主婦のお母さんは、観葉植物が大好きで社交的、いつでもどこでも楽しく暮らせる明るい性格です。そして、彼らには二人の子供がいて、兄は東大を目指して勉強に勤しむ浪人生。妹はアイドルを夢見る女の子。そこに、福岡から祖父が訪ねてきます。そんなどこにでもありそうな普通の家族。一見、幸せそうに見える家族がどういう訳だか壊れて行ってしまう、そんなお話。

 

 この映画最大のポイントは、「東大一直線」や「ゴーマニズム宣言」の漫画家 小林よしのり原案という点。「逆噴射」という言葉通り、平和そうな家庭の中に潜む大きな葛藤を爆発させる家族を描いています。ここで「逆噴射」の起点となるのが、お父さん。お父さんが抱える承認欲求が爆発してしまったのです。考えてみるとお父さんの働き方は、この100年で大きく変わっています。その変化を一手に引き受けて、文句も言わずに真面目にコツコツと頑張って来たのが、お父さんだったんだと気がつきました。この映画から38年経った今でもお父さんの頑張りは当たり前のものとしてある気がしますが、ある意味お父さんは家族が社会に捧げる生贄のような側面があるなとこの映画をみて感じます。中庸に生きるのも楽じゃありません。本当に。

 

 この映画では、「家族のために」と頑張るお父さんの気持ちが空回りしていく様をコミカルに描いていますが、お父さんにしてみれば、完全無欠な「愛」なのです。益々、男女平等社会が進む昨今ですが、普段は隠れて見えないこの気持ちを大切にしないと、この映画のように取り返しのつかないことになるかもしれません。この映画の最後、家族はいつも通りの日常を過ごすのですが、お父さんは家族揃って元気にしていることが一番嬉しいってことが染みる作品です。

 

逆噴射家族

DVDパッケージ

公開日:1984年6月23日

上映時間:106分

ジャンル: ドラマ

監督:石井 岳龍

キャスト: 小林克也, 倍賞美津子, 有薗芳記, 工藤夕貴, 植木等

【内容】

漫画家・小林よしのりが原案と脚本を務め、鬼才・石井聰亙が監督したバイオレンスコメディ。団地生活から抜け出して新興住宅地へ越して来た一家が、突如舞い込んだ祖父によって歯車が狂い出す様を描く。小林克也、倍賞美津子ほかが共演。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

●逆噴射家族 [DVD] ¥3,344〜

●amazon primeでも視聴できます。

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