今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2021.3.27.

 

 

 

 今回は、1983年にタイムスリップ。今から38年前。48年生きている私にとっては「あの頃ね」と随分記憶がはっきりとしてきました。それにしても、開園してから38年経ってもなお、絶大な人気を誇る東京ディズニーランドは、やっぱりすごい。当時、小学校5年生だった私。小学校の林間学校が次の年から東京ディズニーランドになると聞いて、ほぞを噛んだことが思い出されます。昭和一桁生まれでこのランドを「ネズミーランド」と呼ぶ父が家族を連れていく訳もなく、その後、憧れのランドに足を踏み入れたのは、それから10年後の夏でした。そして、テレビでは「おしん」が流行り、日本レコード大賞には、細川たかしの「矢切の渡し」が選ばれ、「さざんかの宿」「氷雨」など、演歌の名曲が次々にヒットを飛ばす時代。映画は、ハリウッド映画が人気を集め、「フラッシュダンス」や「スターウォーズ」「007」など今ではパロディの定番となっている名作が公開されています。

 

 そんな中、公開された映画「ふるさと」。徳山村出身の教師 平方浩介の著書『じいと山のコボたち』を映画化したもの。この映画の舞台となった徳山村は、岐阜県揖斐郡の揖斐川上流にあった村で、徳山ダム建設のため、村民は1984年に離村を開始しました。そして、 徳山ダムは2008年5月に完成し、徳山村の600世帯の集落はダム湖に水没しました。映像は、今となっては見ることが出来ない美しい山間の風景。ダム建設が決まり立ち退きの時期が迫る村の暮らしが丁寧に描かれています。主人公は、この村で生まれ育ち、隠居暮らしの老人伝三。そして、息子の伝六とはな。妻に先立たれ認知症が悪化する伝三に、伝六とはなは手を焼きます。半年後に決まった立ち退きを前に、働き詰めの二人をよそに伝三の状態は日に日に悪化。しかし、孫の千太郎にせがまれてアマゴ釣りへ出掛け始めると、伝三はみるみる元気を取り戻していきます。そこには、清流が流れる美しい山があり、老人の知恵が次の世代へと引き継がれる物語が描かれていました。そして、時は流れ旅立ちの時、千太郎の通う小学校で歌われた「ふるさと」は、これまで聞いたどの歌より悲しく聞こえました。

 

 映画では、縄文の昔から繋がれたこの土地の暮らしと伝統。それが失われる大きな喪失感と葛藤が伝三の忘却とともに切実に描かれています。村の少女は、「ダムが、下流に住む街の人のためになるから」と言い泣きながら去っていきます。そこには、文明の発展と引き換えに私たちが捨てたものが美しく描かれています。実際に、この映画が公開された後、徳山ダムは建設されました。日本最大級のダムであり、総貯水容量6億6,000万m3は日本一を誇ります。しかし、その後はダムの必要性について全国的な論争が起きるなど話題の多いダムでもあります。この家族が愛したふるさと徳山村を犠牲にしてまで手に入れた徳山ダムは、私たちを幸せにできるのでしょうか?私たちの責任は重いと感じる作品でした。

 

ふるさと

DVDパッケージ

公開日:1983年7月

上映時間:106分

ジャンル: ドラマ

監督:神山征二郎

キャスト: 加藤嘉, 長門裕之, 樫山文枝, 浅井晋, 前田吟

【内容】

神山征二郎監督が、湖底に沈みゆく岐阜県の山村を叙情豊かに描いたドラマ。ダム建設のために水中に没していく小さな村。その村で最後の夏を過ごした少年の記憶や、村に暮らす少年と老人の温かな人間関係を映し出す。加藤嘉、長門裕之が共演。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

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