今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2021.2.27

 

 

 

 今回は、ぜひ紹介したい映画があったので1977年にもう一度タイムスリップ。この年は王貞治がホームラン756号を達成した年でもあり、大学入試センターが発足し、翌年からセンター試験が実施された年でもありました。その後、受験戦争という言葉が生まれ、学歴信仰が社会問題となっていきました。77年当時の大学進学率は37.7%。少数派ということもあり大卒=エリートという盲目的な考え方が幅を利かせていた時代です。80年代には、不良とかツッパリという学歴社会に対する抵抗勢力が若者文化として注目を集めたりと、世の中的に子育てに関する問題が表面化し、教育現場が荒れた時代でありました。

 

 そんな時代の家族の映画。山田洋次監督の「幸福の黄色いハンカチ」をご紹介したいと思います。家族といってもここでの主役は、一度は別れてしまった夫婦。男と女の問題は、愛だの恋だのの裏側にある執着心やプライド、承認欲求のような自分の心に振り回されるストーリー展開が多いのですが、この作品で描くのは「許し」。帰る場所として、夫婦という関係を描いています。高倉健さんがかつて妻と二人で暮らした家に戻ってきたときに、沢山の黄色いハンカチが風にたなびくシーンが有名です。何度見てもあのシーンはいいですね。北海道の駅で出会った若者と旅をしながら、少しずつ過去を紐解いていくロードムービー。北海道を旅する若者役は、武田鉄矢と桃井かおり。それぞれに恋愛に悩んでいる二人が、夫婦の物語を聞いて自分に向き合っていく姿も微笑ましい。

 

 この映画では、若者の恋愛への過剰な期待と本物の愛情を持った夫婦との対比で物語が進みます。
元々は他人である夫婦関係。「所詮、紙切れだけの関係」と言い放つセリフの裏には、そうではない何かの存在が見え隠れし、夫婦の在り方を考えさせられます。やはり、人はひとりでは生きられない。自立した大人でも、愛する存在がないと人生は虚しく感じるものなのかもしれません。所詮他人、されど他人なのです。言葉少ない主人公ですが、そんな切実な想いがひしひしと伝わってきます。映画のラストに登場する黄色いハンカチ。最後の最後に辿り着いた先に、風に激しく揺れるその様子が、「おーい、おーい!こっちだよ!」と手を振って待っていてくれる人の想いを伝えてくれます。広い北海道を旅してようやく辿り着いた帰るべき場所。「あー、よかった!」と一緒に喜べる映画です。

 

幸福の黄色いハンカチ

DVDパッケージ

公開日:1977年10月1日

上映時間:108分

ジャンル: ドラマ

監督:山田洋次

キャスト: 高倉健, 倍賞千恵子, 桃井かおり, 武田鉄矢, 渥美清

【内容】

名匠・山田洋次監督が、高倉健を主演に迎えて描いたロードムービーのデジタルリマスター版。失恋のショックで仕事を辞めて北海道へ旅に出た欣也は、同じく失恋で傷付いた朱美と炭鉱夫を名乗る勇作と知り合う。“あの頃映画 松竹DVDコレクション”。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

●あの頃映画 幸福の黄色いハンカチ デジタルリマスター2010 [DVD] ¥2,834〜

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