今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2021.2.13

 

 

 

 今回は、43年前の1977年にタイムスリップ。この年はプロ野球選手王貞治ががホームラン756号を達成し、国民栄誉賞第一号を受賞しました。庶民の間では、カラオケ、テレビゲームがブームとなり、コロコロコミック発売などアニメやマンガなど子供向けの娯楽が増えました。車やバイクの新製品発売も相次ぎ、高度成長を経て世の中にはモノが溢れ出しました。一方で日本赤軍による日本航空ハイジャック事件が再び起こり、当時服役・拘留されていた9人の釈放を求め、亡命を果たしました。60年代から70年代に掛けて度々繰り返されたハイジャック事件は、この事件を最後に収束。共産主義を主張する武力派集団は国外へ流れ、自由経済の元に日本は経済大国として成長を続けることとなりました。

 

 そして、テレビという新しいメディアの台頭に反比例するように映画界の観客動員数は減少の一途を辿ります。71年には五社協定が消滅し、俳優は製作会社への所属から作品ごとの契約へと切り替わました。その中で産まれてきたのが、角川映画。自社が出版する人気小説を映画化し、書籍を映画化し、テレビや書店での広告が大当たり。メディアミックスという新しい映画製作が始まりました。角川書店の代表である角川春樹氏のプロデュースでは様々な監督や俳優が起用され、そこから新しいスターが誕生しました。今回ご紹介するのは、角川映画第二弾作品「人間の証明」。これはミステリー作家 森村誠一原作。「読むのが先か。観るのが先か。」というキャッチコピーで売り出されました。まさに、書籍と映画を同時に売り出すことで相乗効果が生まれ大ヒット。この年の興行成績第二位を獲得しました。

 

 物語は、日本とアメリカを跨いで起きた殺人事件を巡って様々な人を巻き込んでいきます。事の発端は、ニューヨークのスラム街に暮らす一人の若者が日本に渡るところから。そして、殺人事件がひとつ、またひとつと重なり、複雑な人間関係と過去が暴かれていきます。国際的な様相を呈する難事件を読み解く刑事が、松田優作演じる棟居。この映画のストーリーテラーとなる人物ですが、この映画の特徴は登場人物の多いこと。棟居を取り巻く刑事たち、ニューヨークの貧しい父子、政治家と人気デザイナーの妻、夫婦の放蕩息子と彼女、妻を亡くした夫と不倫相手、ニューヨークの刑事などなど、それぞれに大切な人を守るために自分の人生を生きています。しかし、過去に人の道を踏み外した時の業が、数十年後巡り巡って自分自身を苦しめ、罪を生みます。

 

  「母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?」という西条八十の詩の一節が印象的に描かれています。これは母と息子を繋ぐ唯一の手がかりとなります。少年の無垢な想いが綴られた一節が無下に捨てられてしまう残酷さが人間の本質を語っているように思いました。

人間の証明

DVDパッケージ

公開日:1977年10月8日

上映時間:133分

ジャンル: ドラマ

監督:佐藤純彌

キャスト: 田優作, 岡田茉莉子, ハナ肇

【内容】

東京のホテルのエレベーター内で血まみれで発見された黒人青年の死体に端を発し、事件を捜査する刑事とニューヨーク市警、容疑者、彼らの親の軌跡が戦後30年の時を超えて絡んでいく。松田優作の代表作。“角川映画40周年記念1,800円シリーズ”。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

●人間の証明 角川映画 THE BEST [DVD] ¥1,619〜

●amazon primeでも視聴できます。

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