今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2020.9.19.

 

 

 

 今回は、1931年(昭和6年)にタイムスリップ。1929年のブラックマンデーに端を発した世界大恐慌の最中の日本。この年には、今度の一万円札の顔になる予定の渋沢栄一が亡くなった年でもあります。調べてみると本当にすごい方なのですが、新紙幣の顔となることをニュースで知った方も多いのでは?1840年(天保11年)に埼玉県深谷市の農家に生まれ、その後、武士として取り立てられ明治政府で財政政策を行いました。いわゆる幕末の武士であり、江戸から明治の激動の時代をいきた方でした。そして、満91歳のこの年に永眠されたのです。昭和初期には、まだ幕末の武士が生きていた時代と思うと江戸から明治、大正、昭和、そして、平成、令和としっかりと繋がっているのだと実感が湧きます。

 

 そして、今回ご紹介するのは、五所平之助監督の「マダムと女房」です。初めて日本で公開された本格トーキー映画。土橋式という方式で製作されたコメディドラマです。日本初のトーキー映画は、劇作家の主人公が創作に励もうと机に向かう度に、様々な“音”に邪魔をされてしまう演出が味噌。猫の鳴き声、子供の夜泣きなど日常の何気ない音が次から次へと主人公に襲い掛かります。そして、極めつきが隣家から聞こえるジャズバンドの演奏。流石に、堪えきれずに文句を言いに行きますが、ノリの良い劇作家の性分なのかいつの間にか演奏を楽しんでご機嫌で帰宅します。そこで、怒り新党なのが奥さんです。旦那の仕事のためにあれやこれやと手を焼きますが、結局仕事は進みません。元芸者の日本髪と着物が素敵な女房なのでありますが、この時代の先端を行くのはモダンガール。お隣のジャズを楽しむ洋装のマダムとは正反対。そんなマダムに丸め込まれた旦那が許せません。しかし、騒音問題は解決しませんでしたが、劇作家の筆は進み無事に仕事を終えることができました。

 

 そして場面は、変わり数年後二人目の子供が生まれた頃には、古風な女房もマダムに変身しています。改めて二人の過ごした時間を振り返り、そんなこともあったねと二人で微笑みあって、歌を歌います。その歌が、ジーン オースティンの「私の青空 My Blue Heaven」 。メロディを聞けばそれと分かる有名な曲。その後、エノケンが映画で「狭いながらも楽しい我が家〜♪」と歌った名曲です。そうして、小さな幸せを噛み締めて生きる姿は、今も昔も変わりませんね。89年も昔の生活環境は厳しいものだったかも知れませんが、喧嘩しながらもお互いを思いやって生きていくことが幸せに繋がるんだとわからせてくれます。単なるコメディとしてだけでなく、温かい気分になる映画です。

 

マダムと女房

DVDパッケージ

公開日:1931年8月1日

上映時間:56分

ジャンル: ドラマ

監督:五所平之助

キャスト:田中絹代, 渡辺篤, 伊達里子, 小林十九二, 井上雪子

【内容】

戦前の日本映画界を支えた女優・田中絹代主演の2作品を収録。日本初の長編トーキー映画として大ヒットを記録した『マダムと女房』と、谷崎潤一郎原作による映画化第1作目となった『春琴抄 お琴と佐助』を収める。“あの頃映画 松竹DVDコレクション”。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

●あの頃映画 マダムと女房/春琴抄 お琴と佐助 [DVD] ¥2,092〜
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