今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2020.8.8.

 

 

 

 終戦から22年が経ったこの年。12月の国会で当時の佐藤栄作首相が「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」といった非核三原則を主張しました。今では、非核三原則はほとんどの国民が知るところですが、当時はこれに賛同する人は少なかったとか。後に、このことが評価されノーベル平和賞を受賞しています。一方、国民は高度成長期の只中。経済成長の影にあった水俣病やイタイイタイ病といった公害病が問題になっていました。カラーテレビ・クーラー・カーの新三種の神器と言われる新製品が次々と発表され、生活は益々豊かになった時代。もう、戦争のことは一旦忘れて、日々の暮らしと日本の復興が優先されていた時代なのかもしれません。

 

 そんな年に公開されたのが「日本のいちばん長い日」。1945年の8月14日正午から8月15日の正午までの出来事をドキュメントタッチで描いた作品です。ポツダム宣言受託を巡る論争から2度の原爆投下。出兵した人1000万人(男子の1/4)。戦死者200万人。国民死者100万人。肉親を失った人300万人。家を焼かれ財産を失った人1500万人。こんなにも多くの人が戦争被害に合っていると、映画の最後にクレジットされています。直接的な被害が無かったとしても、友人や親戚が命を落としたという人がこの何倍もいるはずです。普段ボーッと生きていると忘れてしまいそうですが、時々映画で確認することは貴重な機会です。

 

 日本のいちばん長い日を描いたこの作品は、全編2時間25分。映画自体も相当長いです。日本政府の対応を追いかけたストーリー。陸運大臣に三船敏郎。海軍大臣は山村聡。鈴木貫太郎総理に笠智衆、志村喬や黒沢年雄、加藤武、高橋悦史など昭和の名優たちが揃い踏み。錚々たる顔ぶれに圧巻なのですが、重厚な俳優さんが集まりすぎて一様に顔が濃ゆい上にモノクロなので見分けるのに若干苦労しました。笑 それでも、2時間半の間ずっと張り詰めた空気のままに引き込まれてしまいます。そして、俳優の一人一人の存在感がすごい。三船敏郎さんの重厚感や笠智衆の奥に秘めた凄み、胸のポケットに青酸カリを入れて尽力する書記官 加藤武さんの覚悟、そして陸軍少佐役の切迫した黒沢年雄さんの表情。すべての役者さんが壮絶なバックグラウンドを背負って演じきる2時間半。それを受け止めるのは、その日のエネルギーをすべて使い果たすほどのカロリー消費です。観ているだけでこちらもヘトヘトになってきます。

 

 前半は、御前会議、詔書の作成、玉音放送の録音までの内閣の動きを追い、後半で陸軍内部のクーデターと呼ばれる宮城事件の様子を追いかけていきます。この「日本のいちばん長い日」は岡本喜八監督による1967年版と2015年に原田眞人監督の二つ製作されています。日本の重大な局面を具に観ることができる作品です。この時の決断が正しかったのかどうかということよりも、この局面を乗り切った先人達に敬意を払うと同時に、その日と地続きに私たちがあることを今一度確認し、味わうことができる映画です。

 

日本のいちばん長い日

DVDパッケージ

公開日:1967年8月3日

上映時間:158分

ジャンル: ドラマ

監督: 岡本喜八

キャスト:三船敏郎, 加山雄三, 山村 聡, 笠 智衆, 黒沢年男

【内容】

太平洋戦争終結の日の秘話を描く岡本喜八監督作品。宮城内地下防空壕の御前会議から、ポツダム宣言受諾をめぐる陸軍省、総理官邸の動き、玉音放送と玉音盤奪還などがスリリングに語られる。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

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日本のいちばん長い日

DVDパッケージ

公開日:2015年8月8日

上映時間:136分

ジャンル: ドラマ

監督: 原田眞人

キャスト:役所広司, 本木雅弘, 松坂桃李, 堤真一, 山﨑努

【内容】

『クライマーズ・ハイ』の原田眞人監督が、半藤一利の同名小説を映画化。1945年7月、連合国は日本にポツダム宣言受諾を要求。降伏か、本土決戦か…。玉音放送をめぐる政府首脳の動きと終戦反対派の青年将校たちのクーデター計画が明かされる。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

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