今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2020.6.6.

 

 

 

 今から73年前の1947年は、終戦から2年後の混乱期。空襲で街の中は焼け野原。当時、戦争で両親を無くした戦争孤児は全国に12万余いたと言われています。10万人は親戚などに引き取られたと言われていますが、仕事を求めて上京し、駅で暮らす子供たちは「浮浪児」「駅の子」と呼ばれました。空襲で荒野と化した街には、家を失った人や出稼ぎで暮らす人が溢れ、戦争が終わった後も飢えや寒さと闘う過酷な状況が続きました。暮らしに絶望して自ら命を断つ人や栄養不足により障害を抱える人がいたことはあまり知られていませんが、戦争がもたらした一つの悲劇です。

 

 日本国憲法が施行される一方で、政府からの援助は受けられません。配給だけでは食料を賄いきれずにヤミ市が開かれ、国民全員がなんとか飢えを凌いでいた頃。第一次ベビーブームが到来しました。1947年から3年間は毎年260万人程の赤ちゃんが産まれています。戦争が終わっても、食料の危機がある中で子供を産み育てるパワーは凄いと思います。今は医療の進歩のおかげで、病気で亡くなる子供が少なくなったので、多産である必要はなくなりました。少子化が問題になっていますが、そう考えると安全なお産ができる現代は昔よりも幸せだなと思います。

 

 今回、ご紹介するのは小津安二郎監督「長屋紳士録」。長屋に暮らす易者が連れてきた迷子の少年を巡って、大人が右往左往する物語。迷子の男の子は、どうすることも出来ずに黙ってそこにいるばかり。長屋に住む大人たちは、厄介者扱いで世話を嫌がり、くじ引きで世話係を決める有様。それでも、一週間も一緒に過ごしていると情が移って、「坊や、うちの子になっちゃいなよ、嫌かい?」なんて言うようになります。最後は、この坊やをきっかけにして、自分の心の在り方に気づくという小津安二郎の映画らしいエンディングです。

 

 団塊世代が後期高齢者となる2025年問題は、もうすぐやってきます。きっと、この年に生まれた親を持つ子もたくさんいるでしょう。今は75歳を過ぎても元気な方が多いですが、親の生まれた時代は驚くほど今と違う世界です。あまり昔のことを話す機会は少ないかもしれませんが、映画をきっかけにして親の生きた時代を知って、子供の頃の話を聞いてみてはいかがでしょう?

 

長屋紳士録

DVDパッケージ

公開日:1947年5月20日

上映時間:72分

ジャンル: ドラマ

監督: 小津安二郎

キャスト:飯田蝶子,青木放屁,河村黎吉,吉川満子

【内容】

小津監督の戦後第一作監督作品。小津の演出と飯田蝶子の演技が魅せる。

 

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