今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2019.1.19

 

 1945年(昭和20年)8月15日。玉音放送により、日本の降伏が国民に公表された日から、5年が経過した日本。第一次ベビーブームが起こり、団塊世代がこの世に生まれたこの時代は、「男は仕事」「女は家庭」といった考えがまだ色濃く残っていました。

戦争が終わり復興が進む中、これからやってくる新しい時代への期待と不安が入り混じった混沌とした時代。そこには今と同じように、若い世代ほど新しいものへと意識をめぐらせ、欧米から入ってくる新しい文化を追いかけていました。

一方では、明治生まれの親世代がもつ価値観がそれらの変化を拒む対立構造が生まれていたようです。

 

 1950年は、大卒初任給(公務員)4,223円の時代。かけそば一杯15円、ラーメン一杯20円、コーヒーは一杯25円でした。まだ、日本は戦後の傷跡を背負いみんな必死に生きている貧しい時代。インフレが進むにつれ百円券の発行が増大したため、この年に初めて聖徳太子が印刷された1000円札が発行されました。そして、警察車両としてパトカーが導入され、犯罪の予防・検挙や、交通の指導・取り締まりのために巡回業務がはじまり、日本気象協会の業務開始、NHKのテレビ定期実験放送開始と、平成へと続くインフラ機能が徐々に整い始めた時期です。そして、1956年の刊行された三島由紀夫の小説「金閣寺」に描かれた「金閣寺放火事件」もこの年の出来事した。

 

 今回ご紹介するのは、小津安二郎監督が描いた「宗方姉妹」。生き方の違う年の離れた姉妹の日常の中で、新しいものを追いかける妹を前に姉が「新しいものって何?」と問いかけるシーンが印象的です。妹が言葉に詰まると姉は、「新しいものとは、古くならないもの」と言います。喧嘩の中のそのワンフレーズが最後まで心に引っかかり、作品の中で考えさせられます。

後に大女優として名を馳せた妹役の高峰秀子がキャピキャピしていてとても可愛らしいのも見どころです。この作品をきっかけに、他の小津安二郎作品を芋づる式に鑑賞してみてはいかがでしょう?

 

宗方姉妹

公開日:1950年8月25日

上映時間:112分

ジャンル: ドラマ

監督:小津安二郎

キャスト: 山村聡, 笠智衆, 一の宮あつ子, 河村黎吉, 高峰秀子

【内容】

世界中の監督に影響を与えた小津安二郎監督が、松竹を離れ、はじめて新東宝で製作した作品。主演は田中絹代、高峰秀子。伝統を大切にし、皮肉屋の夫に耐えつづける姉と、そんな姉に反発する奔放な妹の対比で、日本の家庭崩壊を描いた人間ドラマ。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

●宗方姉妹 [DVD] ¥4,112 プライムビデオでも視聴可能です。

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