今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2020.4.4.

 

 

 

 今から遡ること55年。1965年は、発展を続ける日本経済の負の産物として公害が取りざたされるようになりました。1950〜60年代に掛けて生産性の向上に伴い工場周辺に暮らす人々が有害物質に晒され、水俣病や四日市喘息など公害病が問題となっていた時代です。暮らしが豊かになることと引き換えに、様々なものを失った時代。大家族の暮らしや地域毎のしきたりや行事など古い社会システムを脱ぎ捨てていった時代でもありました。

 

 1964年4月1日から、日本人の海外渡航が自由化され、JALパックなど海外旅行商品が次々と発売されたのもこの頃です。ハワイ旅行9日間で364,000円。国家公務員大卒初任給が19,000円ですから、月給の19倍。今の貨幣価値に換算すると約400万円余りの高嶺の花でした。そして、プロ野球では、先日お亡くなりになられた野村克也さんが打撃三冠王を達成し、セ・リーグでは長嶋茂雄さんや王貞治さんが大活躍されていました。

 

 そして、この年の4月3日に公開されたのが「赤ひげ」。赤ひげ役は三船敏郎。若い医師役に加山雄三、他にも山崎努、笠智衆、志村喬、杉村春子、田中絹代という豪華キャスト。黒澤映画の集大成とも言える大作です。185分という長編ですが、大きく3つの物語で構成され、重厚で見応えのある作品です。原作は山本周五郎の「赤ひげ診療譚」。江戸時代後期の享保の改革で徳川幕府が設立した小石川養生所を舞台に、赤ひげ先生と若い医師達と病に苦しみながら懸命に生きる人々との交流を描いています。

 

 この映画では、医学が勝者となるサクセスストーリーは残念ながらありません。しかし、今の医療環境とは全く異なる時代にあっても、医者が患者を思う心は変わらず尊いものと感じます。赤ひげ先生の患者への深い洞察は、含蓄と慈愛に満ちていて心を温めてくれます。新型コロナウイルスで騒々しい世の中で殺伐とした雰囲気に包まれている昨今。人は人に支えられて生きていることに気づかせてくれて、人を信じる勇気を貰えるそんな映画です。世のリーダーは、戦争だと比喩して勝ち負けにこだわりますが、私たちの暮らしはその価値観だけでは乗り切れません。病を通して人情や人生を味わってみてください。

 

赤ひげ

DVDパッケージ

公開日:1965年4月4日

上映時間:185分

ジャンル: ドラマ

監督: 黒澤明

キャスト:三船敏郎、加山雄三、山崎努、二木てるみ、内藤洋子、杉村春子

【内容】

山本周五郎原作の小説を黒澤明監督が映画化した作品。江戸時代の医療施設・小石川養生所を舞台に、出世の野心に燃えるエリート医師が長屋で暮らす人々との触れ合いを通して成長していく姿を描く。出演は三船敏郎、加山雄三、山崎努ほか。(「Oricon」データベースより)

 

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