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これまでのライブラリー

2019.12.14.

 

 

 

 12月も中盤戦。ケンタッキーフライドチキンのコマーシャルもパーティバーレル版に切り替わり、もうすぐクリスマスがやってきます。今の時代、クリスマスと言えばイルミネーションが輝いて幸せな気持ちになる1日ですが、今回、ご紹介するこの映画は1983年に公開された異色のクリスマス映画 大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」。この年、東京ディズニーランドが開園し、任天堂のファミコンが発売されました。きっと、この頃からクリスマスにチキンが定番化して、日本人もクリスマスを楽しむのが当たり前になった頃。当時は、かなりセンセーショナルな印象で世に出た作品。爆笑問題の太田さんがビートたけしさんの前でふざけて言う「メリークリスマス、ローレンス!」あのセリフの映画です。

 

 1942年のジャワが舞台のこの映画は、北野武演じるハラが独房のオランダ人と朝鮮人の素行不良を咎める場面から始まります。太平洋戦争の最中、ジャワへ派遣された日本兵と捕虜となった連合軍の兵士達の物語です。日本兵の行き過ぎた規律と武士道の間で翻弄される捕虜たち。捕虜となった人たちは、厳しい労働と劣悪な環境のなか兵士としてのプライドと神を慈しむ心でなんとか命を繋ぐギリギリの状態。管理する者とされる者という二極化された状況で、「神と仏」「ヨーロッパと東洋」といった文化の違いが反発し合うように、残忍な暴力とともに人間の血なまぐさい姿が描かれます。しかし、不条理のその奥には人間の欲や慈悲、同じ兵士としての狡猾な戦略が見え隠れして、実に奥深い作品。

 

 公開されたのは1983年。終戦から38年が経ち、日本は経済大国として発展をする中、デビットボウイや坂本龍一、北野武など異色のキャスティングで話題になりました。当時は、デビットボウイと坂本龍一の同性愛や日本兵の切腹シーンなどエキセントリックな部分が取り沙汰されていました。しかし、今改めて見ると本質はそこじゃなく、戦争体験者である大島渚監督の大きく捉えた平和と愛のメッセージだったのだとしみじみと胸に迫るものがあります。

 

 最後、戦争に負けた日本と英国の立場は逆転し、軍曹だったハラは戦犯となり、捕虜だったローレンスは裁く立場になります。しかし、独房にいるハラをローレンスが訪ねて「正しい者などどこにもいない」と呟きます。その一言が戦争の虚しさを鋭くえぐるメッセージとして、ズシリと響きました。今は、故人となってしまった大島渚監督ですが、忘れてはいけない大切な映画です。

 

戦場のメリークリスマス

公開日:1983年5月28日

上映時間:123分

ジャンル: ドラマ

監督:大島渚郎

キャスト:デヴィッド・ボウイ, トム・コンティ, 坂本龍一, ビートたけし, ジャック・トンプソン

【内容】

大島渚監督、デヴィッド・ボウイ、ビートたけし、坂本龍一ら豪華キャスト共演による戦争ドラマ。太平洋戦争下の42年、ジャワ奥地の日本軍捕虜収容所を舞台に、軍士官や捕虜たちが織り成す複雑なドラマを中心に、西欧と日本の文化的衝突を描く。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

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