今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2019.11.23.

 

 

 

 今回は、これまで紹介した中で一番古い79年前にタイムスリップ。時代を振り返るとナチスドイツ・ヒトラー・世界大戦と歴史の教科書で出会った出来事ですが、御年79才の方々にとっては生まれ年の出来事。そう考えると、たかだか80年でこんなに世の中が変わってしまうことに恐怖すら感じます。1940年、戦前の日本は帝国主義の時代。タイと友好条約締結し、南方進出の足固めを行っています。世界ではドイツが周辺諸国へ侵攻を繰り返し、9月には日・独・伊三国同盟締結。これにより、米・英・仏・蘭・支等連合国との対立激化しました。

 

 今回ご紹介するのは、この年の10月に公開された「風の又三郎」。1934年に発表された宮沢賢治の小説を島耕二監督の元で映画化されました。ちょうど同じ年には、チャップリンの「独裁者」が公開され、ハリウッド発の映画がたくさん日本にも入ってきていました。当時、日本で製作される映画は、プロパガンダとして配給される軍事ものや時代劇が多く、このようなファンタジーな現代劇は珍しい作品。映画旬報ベストテン3位の作品です。

 

 この物語は、東北地方の伝承で、風の神様を「風の三郎」と呼んでお祀りしていた風習を、宮沢賢治がなぞったものとされています。その風が吹く頃、突然やってきた転校生を子供たちは「風の又三郎」と呼び、自分たちとは違う服装や話し方をする転校生を特別な存在と考えます。しかし、大人から見れば、都会からの転校生。子供たちには「仲良くするように」と普通の態度です。この世界のギャップが面白いところです。

 

 森へ子供たちが遊びに行くシーンで「おら、〇〇〇〇だ」「おらだって、〇〇〇〇だ」と子供たちの会話を聞いていると、クレヨンしんちゃんがたくさんいるようで、なんとも微笑ましい。また、専売特許として管理されるタバコの葉や先生の言葉使いなど時代のギャップを感じる部分も多く、宮沢賢治の生きた時代を肌感覚で感じることができる映画です。

 

 

風の又三郎

DVDパッケージ

公開日:1940年10月10日

上映時間:96分

ジャンル: ドラマ

監督:島 耕二

キャスト:片山明彦,大泉滉,風見章子

※1940年公開の島耕二監督版は、youtubeで視聴可能です。https://www.youtube.com/watch?v=-eINkvK1rUg

【内容】

ある日やってきた不思議な転校生・高田三郎。クラスの少年たちはすっかり、彼を「風の又三郎」だと信じ込んでしまう。彼らはすぐに仲良しになり、自然の中で自由に遊びまわる日々を送る。そんなある日、友達の嘉助と一郎は不思議な夢を見る。ピカピカのガラスのマントにガラスの靴をはいた三郎が歌うたびに稲妻が光り、風が吠え狂う。翌朝、学校へ行くと、三郎は家の都合で北海道へ帰ったと聞く。やっぱり、あいつは風の又三郎だったと考え込む、嘉助と一郎だった。

 

●風の又三郎 [DVD] 久保賢出演, 石川竜二出演, 村山新治監督 新品 ¥3,244〜

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