今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
私たちのおじいちゃんおばあちゃん、
あるいは、ひいおじいちゃんやひいおばあちゃんだって
映画を楽しんできました。
ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
公開年ごとにランダムに紹介していきます。

これまでのライブラリー

2019.10.26

 

 

 

 今回は、66年前の日本にタイムスリップ。1953年といえば、当時の吉田茂首相が放った「バカヤロー」の一言から国会が紛糾し、懲罰委員会への付託動議が可決。その後、内閣不信任決議案が通り、これを受けて吉田首相は衆議院を解散し、衆議院議員総選挙が行われることになりました。

 50年代は、多くのハリウッド映画が上映され、シネマファッションが巷に溢れたそう。風と共に去りぬやローマの休日など、美しい女優達が大活躍した時代。当時、クリスチャン・ディオールが提案した丸みの帯びた肩と細く締まったウエスト、裾に広がるフレアスカートのスタイルが大人気でした。

 

 今回ご紹介するのは、小津安次郎監督の名作「東京物語」。尾道に住む老夫婦が東京へ子供達を訪ねて旅をするお話。それぞれに独立して暮らしている子供との距離感を切なくも少しユーモラスに描いています。 「親が期待するほど、子供は親のことを考えてくれない」そう嘆くのは、何もこの家族に限ったことではなく、子供達の家を訪ねて感じる距離感。 昔を懐かしむ気持ちと変わってしまったという喪失感の間で揺らめく、両親の気持ちがヒシヒシと伝わってきます。

 最後、尾道で両親と一緒に暮らす末娘が「こんなのつまらない」と言うと、戦死した次男の嫁である紀子が「大人になるとみんなそうなっていくの、自分もそうなの…」と悲しそうな顔で説く。なんとも言えない切なさを帯びたその会話の中に人間の本質を語る強さと優しさを感じます。

 

 子供が大人になり、親元を離れ自立していく先には、子供が幼かった頃の近さはなくなっていくもの。その家族の在り方をとてもリアルに描いています。「私たちは、幸せな方だ」と夫婦が交わす穏やかな会話に子を想う親の深い愛情を感じます。 親には親の、子供が独立した後は、子には子の生活があることは当たり前のこと。親子とはいえ、そこは尊重しないといけません。互いに思い合う気持ちが触れ合ってこそ温かい親子関係が持てるのではないかと感じます。血が繋がってる親子でも、気持ちが大切なんだと教えてくれる映画です。

 

 

東京物語

DVDパッケージ

公開日:1953年11月3日

上映時間:136分

ジャンル: ドラマ

監督:小津安二郎

キャスト: 笠智衆、東山千栄子、原節子、杉村春子、山村聡

【内容】

年老いた親が成長した子供たちを訪ねて親子の情愛を確認しあうという題材だが、小津の手にかかるとどうなるかを示す傑作。何気ない言動が教える各人の生活、思いがけない心情の吐露と発見。そして何事もなかったような人生の悲哀と深淵が見事に描かれている。 尾道に住む老夫婦、周吉ととみが東京で暮らす子供達を訪れるために上京する。子供達は久しぶりの再会で二人を歓迎するが、それぞれ家庭の都合もあり、構ってばかりはいられない。結局、戦死した次男の嫁、紀子が二人の世話をすることになる。老夫婦は子供達がすっかり変わってしまったことに気づくのであった……。 ラスト近く、ひとり残された夫が、静かに海を見つめているシーンが印象的。人間の孤独感、死生観といったテーマをとりこんだ味わい深い名作。

 

●あの頃映画 東京物語 (DVD) 小津安二郎生誕110年・ニューデジタルリマスター 新品 ¥1,910〜

※アマゾンプライムでも視聴出来ます。

目次