今も昔も、映画はみんなが楽しめる身近な娯楽。
映画が誕生して120年余り。
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ひいおじいちゃんが観ていたかもしれない100年前の映画や
お父さんの青春時代を彩っただろう50年前の映画など
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これまでのライブラリー

2019.7.20

 

 今から遡ること57年。1962年8月5日、当時銀幕のスターだったマリリンモンローが36才の若さで人生の幕を閉じました。時代のアイコンとして世界的なスターの死は衝撃を生みました。時は冷戦時代の真っ只中。「大量の睡眠薬を飲んだことによる事故もしくは自殺」と警察で発表されましたが、ケネディー大統領との関係が取沙汰され、他殺説がまことしやかに囁かれていました。あまりにも謎多き出来事に、死没後20年経った82年にロサンゼルス市警による異例の二度目の調査が行われ、改めて事故もしくは自殺と発表され、調査内容が一部公開されたほどです。

 

 一方、日本は東京オリンピックを2年後に控え「オリンピック景気」の最中にありました。時代は高度成長期。2019年の今から見れば、右肩上がりの勢いのある時代だったと言えますが、当時に生きる人たちからすれば、戦後に生まれ育ち、貧しい生活の中でこれからどう生きるべきか、みんなが迷いながらも必死に前を向いて生きていた時代です。そんな時代を生きる人々を描いているのが、今回ご紹介する「キューポラのある街」。浦山桐郎監督の昭和の名作です。主演の吉永小百合さんはこの映画で史上最年少でブルーリボン賞を受賞されています。

 

 映画の舞台は、当時鋳物工業が盛んだった埼玉県川口市。主人公のじゅんは、職人堅気で何かとすぐに怒鳴る父とお酒が好きな母、ちょっと問題行動多めの弟と生まれたばかりの妹の姉。中学3年生の冬に自分の進路を巡って様々な葛藤を抱えつつ、父親の解雇や母の出産。弟の世話など、様々な出来事に翻弄されながら、激動の時代を突き進んでいく快活な少女です。決して裕福ではない家の長女として、家の事情と時代の流れと自分とのバランスを取りながら、自らの生き方を決めていきます。たくましくも儚げな一人の少女のあり方から、その時代を見事に描いている作品です。そこに描かれている労働者に対する保証制度や韓国人への偏見、男尊女卑が色濃く残る女性軽視した振る舞いなどこの時代の問題・課題がてんこ盛り。社会のあり方の違いは結構衝撃的なレベルです。

 

 ちょうど、団塊世代が就職や進学を選択したころと重なるこの時代。自分の親が青春時代を過ごした時代でもあるのでは?特に女性は、 今と比べたら随分と選択肢も少ない時代。改めて親の生きた時代を映画で体感してみるのも面白い経験です。もしかして、お父さんもサユリストだったなんてこともあるかもしれません。来年開催される二度目の東京オリンピックを控え、この時代と今とを比較される機会も増えていますが、今の暮らしは格段に便利で豊かになっています。それも、この時代に精一杯生きた人たちのおかげと思うと感慨深いものがあります。私たち日本人は、よくぞ頑張ってここまで来たよねと思えて、これから、もっと良くなるぞ!と前向きになる映画です。

 

キューポラのある街

キューポラのある街_ポスター画像

公開日:1962年4月8日

上映時間:100分

ジャンル: ドラマ

監督:浦山桐郎

キャスト: 吉永小百合, 浜田光夫, 北林谷栄, 東野英治郎, 殿山泰司

【内容】

匠・浦山桐郎監督のデビュー作であり、吉永小百合が18歳という若さでブルーリボン賞主演女優賞に輝いた作品。埼玉県川口市を舞台に、貧しくとも、強くたくましく明るく生きていく若者たちの姿を等身大で描いた青春感動作。(「キネマ旬報社」データベースより)

 

●キューポラのある街 [DVD] 中古品 ¥4,280〜

※アマゾンプライムビデオでレンタルも出来ます。

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