誰しもがこの世界とお別れする時が来る。
本当は、当たり前のことなのだけど、
普段はあまり身近に感じることはないかもしれません。
あなただったら、どんな姿で残されたあの人と一緒に居たいと思いますか?
本人にとっても、家族にとっても、納得できる
最高の遺影写真を撮りたい!
家族の一日を追いかけたルポルタージュです。

カメラマン
PhotoLeGe
小栗啓吾

病院の介護士として勤務しながら『介護写真家』として撮影を行なっている。 イキイキとした介護士の表情を写真に切り取ることで、介護現場での心の触れ合いを多くの人に知ってもらうことを目的に様々な活動をしている。また、出張で遺影撮影をしながら介護・終活相談も行なっている。

スタイリスト
JIBUN STYLE LABO代表
古屋ヨウコ

人を笑顔に輝かせることをミッションに、他人との比較ではなく、自分らしさを大切にした『JIBUN STYLE』にこだわり『最高に輝くJIBUN/自分』を装いで表現するスタイリングアドバイスをはじめ、個人や企業、店舗の価値を高めるプロデュース、ブランディングサポート事業等、活動のフィールドを広げている。

ヘアメイク
綺羅化粧品浜松
野田健

パウダーメイクの機能性に感動して、板前から綺羅化粧品へ転職。現在はメイクアップ&小顔エステ小顔エステトレーナーを担当。「人を綺麗に見せる」を信念に日々技術に磨きをかけている。

6月8日

第4回 いよいよドキドキの撮影ロケ! ~撮影編~

撮影は、完治さんが原付バイクに乗っているシーンからスタート。いつも原付バイクで党の活動に駆け回る完治さん。バイクはいわば、完治さんの良き相棒です。まずはわが家を背景にして、ベストな位置にバイクを配置。すると、完治さんがスタジャン姿にシルバーのヘルメットを被って、ピンクのスクーターにひらりとまたがります。「カッコイイ!」…周囲のスタッフから思わず感嘆の声。選挙ポスターなどで撮影慣れしているせいか、カメラを向けても普段通りの自然な笑顔をみせる完治さん。向かいのラーメン屋さんが不思議そうな顔をして店先から手を振ると、余裕で笑顔で手を振り返します。ヘルメットを脱いだショットでは、ヘアスタイルがすぐに風で乱れてしまうので、メイクさんが撮影の合間に完治さんに駆け寄っては頻繁にヘアを整えます。風も寒さも跳ね飛ばすイキイキとした表情と優しい笑顔を写真に収めることができました。

 

完治さんバイク
完治さん写真

次は、加津子さんの撮影です。「もしタイムマシンに乗れるなら、いつどこに戻りたいですか?」との問いに、「子育て時代」と答えた加津子さん。そこで、お子さんと過ごした歳月を象徴する「柿の木」の前で撮影をすることにしました。柿の木は、ご長男が生まれた年に植えた梶野家のシンボルツリーです。

 

冷たい風が吹きすさぶ中で、撮影開始まではコートを羽織っていましたが、いざ撮影となると、寒さをものともせずにサッとコートを脱ぐ加津子さん。貴婦人のように凛とした立ち姿が素敵です。撮影前は「どうしたらいいかしら?」と少し戸惑った様子でしたが、「胸を張って」、「顎を引いて」、「体の向きをもう少し左に」…というカメラマンさんの指示通り動いているうち、徐々に緊張がほぐれてきた様子。トレードマークのキュートな笑顔をたくさんカメラに収めることができました。

 

加津子さん写真柿の木
加津子さん写真機織り

ツーショット

加津子さんの2枚目のカットは、趣味の「機織り」のシーン。撮影の準備が整うまで、広縁にある機織り機に座って、スタッフに裂き織りの説明をしてくれた加津子さん。趣味の話に夢中になるうちに、みるみる表情がイキイキとして、リラックスした雰囲気の中で撮影が進みました。衣装はワインレッドとブルーの2パターンで撮影。どちらの衣装も機織り機をバックに鮮やかに映えて、とても良くお似合いです。

 

遺影写真の撮影が終わった後、50年間暮らしてきた我が家の前で、記念に夫婦2人で写真を撮りました。カメラを向けると、完治さんが加津子さんの肩にスッと手をまわして、2人でニコリ。結婚してもうじき55年。強い絆で結ばれたご夫婦の、仲睦まじいツーショットが撮れました。

 

冊子を持って
 

撮影が終了後、お2人に感想をうかがうと、こんな風に語ってくれました。

 

【完治さん】

「正直なところ、撮影をする前は『自宅なんかで撮影できるのかな』とか、『こんなに寒いのに外で撮影するのかな』と、不安でなりませんでした。でも実際にやってみて、うんと楽しかった! 若い人たちと一緒にいると、自分も若くなった気がして元気が出ました。ものを創るって、やっぱりとても楽しいことですね。体験できて本当によかったです」

 

【加津子さん】

「メイクをしてもらうのは初めてだったので、どうしようかと不安だったけれど、始まったら『されるがまま』という感じで(笑)、初めての体験に胸がワクワクしました。それと、写真をこんなにたくさん撮ってもらえるとは思わなかったので、驚きましたね。普段通りの自然な表情が撮れたので良かったです。撮影も楽しかったし、こんな時間をつくってもらえてとっても嬉しかったです。ありがとうございました」

 

出来上がった写真を見ながら、肩を寄せ合って楽しそうに談笑するご夫妻。「結婚って素敵だな」と、改めて感じさせられました。

 

そして、インタビューの中で完治さんがこんなことを語られていたのも印象的でした。

「妻はいつも僕の背中を押してくれて、一緒に頑張ってきてくれた。だから僕もここまでやってこれたんだと思う。夫婦にはそれぞれに人格があって、別個の人間ではあるけれど、やっぱり何かの『縁』で結ばれているのかな。それが『赤い糸』というものかもしれないね」

運命の赤い糸を縦糸に、家族との数々の想い出を横糸にして、裂き織りのように多彩で温かみのある人生を織りなしてきた梶野さんご夫婦。お2人の素敵な「YEAH!」が完成しました。