誰しもがこの世界とお別れする時が来る。
本当は、当たり前のことなのだけど、
普段はあまり身近に感じることはないかもしれません。
あなただったら、どんな姿で残されたあの人と一緒に居たいと思いますか?
本人にとっても、家族にとっても、納得できる
最高の遺影写真を撮りたい!
家族の一日を追いかけたルポルタージュです。

カメラマン
PhotoLeGe
小栗啓吾

病院の介護士として勤務しながら『介護写真家』として撮影を行なっている。 イキイキとした介護士の表情を写真に切り取ることで、介護現場での心の触れ合いを多くの人に知ってもらうことを目的に様々な活動をしている。また、出張で遺影撮影をしながら介護・終活相談も行なっている。

スタイリスト
JIBUN STYLE LABO代表
古屋ヨウコ

人を笑顔に輝かせることをミッションに、他人との比較ではなく、自分らしさを大切にした『JIBUN STYLE』にこだわり『最高に輝くJIBUN/自分』を装いで表現するスタイリングアドバイスをはじめ、個人や企業、店舗の価値を高めるプロデュース、ブランディングサポート事業等、活動のフィールドを広げている。

ヘアメイク
綺羅化粧品浜松
野田健

パウダーメイクの機能性に感動して、板前から綺羅化粧品へ転職。現在はメイクアップ&小顔エステ小顔エステトレーナーを担当。「人を綺麗に見せる」を信念に日々技術に磨きをかけている。

12月15日

第4回 「夫婦のYEAH!」・・・これまでも、これからも

安夫さんと恵子さん、お2人の遺影撮影が無事終了し、最後に2ショットで記念写真を撮りました。

「2人で写真を撮る機会なんて、普段なかなかないもんね」と話しかける恵子さんに、安夫さんが笑ってうなずきます。

 

撮影の合間、ご夫婦のなれそめをうかがったのをきっかけに、結婚当時の思い出話で2人の会話が盛り上がりました。

 

安夫さん「初めて出会ったのは、当時よく通っていた浜北市(現浜北区)小松の喫茶店。僕はいつも1人で通っていたけど、この人(恵子さん)はいつも男友達と一緒で…」

 

恵子さん「エ~、そうだった?(笑)」

 

安夫さん「それで、1人で来ている時に初めて声をかけたのがきっかけで付き合い始めました」

 

-結婚を決めたのは?

 

恵子さん「お付き合いして3年3ヶ月で主人から正式にプロポーズされたの」

 

安夫さん「そうだっけ?」

 

恵子さん「ほら、当時流行ってた『フランシーヌの場合』っていう歌謡曲と一緒だねって話したじゃない」

 

安夫さん「照れちゃうなあ(笑)」

 

恵子さん「それまでも会う度に結婚しようと言われてたけど、私はなかなか『はい』とは答えなかった。でもこの人、我慢強い人なの。ピアノの演奏会に行く日を1日間違えて伝えちゃった時も、前の日にずっとスーツを着て小松駅で待っていてくれたりして」

 

安夫さん「実は一度破局したこともあるんですよ。でも、おばあちゃんが僕を気に入ってくれたから引き留めてくれて復縁したんです」

 

恵子さん「別れる時に便箋8枚分の手紙をくれて、『僕はもう大阪に帰って浜松には二度と来ない』って書いてあったの。それで、おばあちゃんが引き留めたんだよね。私の男友達にも『お前にはやっちゃんが1番合うんじゃないのか』って言われて、それでまた付き合い始めたの」

 

-結婚できたのも、おばあちゃんのおかげですね。

 

安夫さん「良かったのか悪かったのか、それは死ぬ間際にならないとわからない(笑)。

でも、結婚後もおばあちゃんがとても可愛がってくれたので、亡くなった時は涙が出ました。それに、結婚して浜松に住んで本当によかったと今では思います。浜名湖の磯釣りや鉄砲、山芋掘り、シイタケ栽培、アユ釣り、ヤマメ釣り、投網…大阪ではできないことをいっぱいやれたから」

 

-お2人がそんなに仲良くいられる秘訣は?

 

恵子さん「特に何もないけど、お互いに『ありがとう』という言葉を常に忘れないようにしています。お茶を入れたりした時も、『ありがとうは?』って催促したりして(笑)」

 

安夫さん「僕は、もう何十年間も食後に『美味しかった』と必ず言うようにしているよ。まぁ、あと何年生きるかわからないけれど、縁があって一緒になったんだから、これからもずっとこのまんまだね」

 

恋愛時代の素敵なエピソードもうかがえて、和気あいあいと進んだ撮影も終了。

後日、撮影した写真の中から遺影にふさわしいものをピックアップし、その中からお2人にどれにするかを選んでもらうことになっています。

 

今回の撮影の感想をお2人にうかがうと、

「撮影自体が一大イベントになりました。最初は簡単に考えていたけど、普段なかなかできない貴重な体験でした。出来上がりが楽しみです!」と恵子さん。

「最初は緊張してコチコチになりました。息子に写真を撮ってもらうのも何だか変な感じがしたけど、やっぱり嬉しいものですね」と安夫さん。

 

最後に、カメラマンを務めた息子さんにも感想をうかがうと、

「普段接するのとは異なり、レンズを通して両親を見つめると、これまでに見たことのない表情や感情を見出すことができました。それは自分にとっても貴重な体験だったので、こういう機会を持てて本当に良かったと思います。それに、これまで父親の口から2人のなれそめを聞いたことなど一度もなかったので、正直言ってとても驚きました。今回の撮影は2人にとって大きなチャレンジだったと思いますが、2人ともそれをすごく楽しんでいたので、その様子を見ている自分も幸せな気分になれました。こういうチャレンジ精神に溢れた両親を見て育ったおかげで、自分にもチャレンジする精神が育ったのかなと、改めて感じました」と話してくれました。

 

遺影を撮ることは、お2人にとってこれまでの人生の集大成でもあり、これからの人生をどう生きるかを互いに確認しあう機会にもなりました。

そして、それを見守る家族にも大きな影響を与えたようです。